第11期 第1回講義

2019年度初めの講義(平成最後の講義)は、大阪大学名誉教授であり、当塾の塾長でもある河田聡先生にご講義いただきました。前半の河田先生による講義と、後半の参加者全員での議論を行いました。

 

前半の講義では、「科新塾を始めた理由」を中心に講義をされました。

 

博士には、研究以外の道が広がっている事をおっしゃっていました。日本の学生は、研究職に就きたいと思う人が多すぎる。それは、勉強ばかりしていた(せざるをえない)から、学問以外の分野を知らないという先生の持論をおっしゃっていました。研究以外の仕事も知ることで、新しい夢が芽生える。そこで、博士修了後に研究以外の分野で活躍されている方をお呼びして、その方の経験を聞くことで疑似的にその仕事を知る科新塾を河田先生は開かれました。研究職のポストは限られているので、実力だけでなく、運やタイミングもある。人生の夢を持ち充実した人生を歩むために、複数の夢を持ち、タイミングが合えば、その夢を追いかければ良いとおっしゃっていました。

 

また,平成最後の講義ということもあり,昭和元禄―平成〇〇―令和明治と歴史的な日本と現在の日本を対比して議論をされました。

 

平成と令和と明治、幕末と対比して、新しい時代を拓くのは、博士だと力説されました。その例として、明治維新を挙げられました。緒方洪庵が開いた適塾で蘭学を学んだ塾生(福沢諭吉や大村益次郎)が、蘭学以外の分野でも活躍し、新しい日本を築いた。歴史は繰り返し、今の日本をより良く変えていくのは学問を突き詰め、新しいことを作り出す能力を持つ者、つまり、博士に進学すると決意した博士・科学者だと話されました。

 

最後に、『星の王子さま』の著者でもあるサン=テグジュペリの言葉「船を造りたいのなら、男どもを森に集めたり、仕事を割り振って命令したりする必要はない。代わりに、彼らに広大で無限な海の存在を説けばいい。」を引用して、手段ではなく、目標を設定する重要性を述べられました。

 

後半の議論では、「3つ以上の夢を持つこと」・「お金を稼ぐことの重要性」について議論しました。

 

はじめに参加者が、お互いの夢について共有しました。「夢がない。夢が何なのかわからない。夢を持たないという選択もありなのではないか?夢に縛られていると、ほかのことが見えなくなってしまうのではないか?」という意見もありました。それに対して、河田先生は、「夢は固定化されているものではない。常に更新されているものである。そして、常に念頭に置いておくことで、タイミングを見逃さずに、夢を叶えるために突き進むことができる。」とおっしゃいました。夢をもう少し気楽に捉えて、変化させて行ってもいいんだと考えさせられました。

 

科新塾・中之島も11年目となり、博士が令和という新時代でどのように活躍できるかを真剣に考えています。途中からの参加もお受けしておりますので、お問い合わせください。博士課程に進もうか・博士後のキャリアをどうしようと研究室で悩んでないで、一度参加してみてください。同じ志を持ち、未来に対して希望と不安を共有できる仲間が見つかります!

 

文責・塚田陽平